・富士光学工業 "Lyra Six" II型

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Shutter: Fujiko A ( T, B, 1,1/2,1/5,1/10,1/25,1/50,1/100,1/200,1/300 )

Lens: Fujiko-Anastigmat Terionar ( f=80mm 1:2.9 )

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富士光学工業製の国産シックス判スプリングカメラ、ライラシックスII型です。
I型ライラシックスは昭和十二年にダイカストボディで出ていますが
こちらはI型をボディレリーズ化したII型の後期モデルです。
板金構造のIII型以降と違い、ダイカストボディは一回り大きいシャッター搭載の為
搭載レンズも焦点距離が80mmで、開放F4.5とF3.5モデルの他に
当時の国産では珍しい大口径F2.9モデルが有りました。
9万番台後半のレンズ番号からすると、セミライラII型やライラシックスIII型と
同時期の製造ではないかと思います。


I型もII型も、どうも途中で何度か仕様が変化している様ですが
マイナーな写真機の所為でイマイチ資料に乏しいので裏付けが取れません。
手持ちの各個体を見ると、I型と初期II型はマスク交換式セミ判&シックス判兼用
(セミ判は2個の赤窓読み取り、シックス判は上面小窓の数字表示)ですが
この後期II型はシックス判専用機で、セミ判用の赤窓2個が無くなり
番号読み取りは裏蓋中央の赤窓1個で行う様になりました。
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付属のマスク自体は取り外し可能で、I型とも互換性が有ります。
初期I型には革の手提げが付いていましたが後に廃止され
ネックストラップ取付金具がネジ止めされましたが
この機体では初めから付いていない様です。


入手時は表面の貼革が殆ど剥げて無くなっていました。
そこで以前¥100ショップで購入した合皮で貼り直しましたが
お陰でオリジナルと比べて妙にツルンとした感じになってしまいました。(^-^;;
本来は前蓋にメーカー名ロゴ、裏蓋には「LYRA SIX」の型押しが有ります。
下地の錆部分は擦り落とした後、何時もの様にPOR15処理です。


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アサヒカメラ昭和十四年五月号の新製品紹介記事から。
記事自体はライラシックスIII型のものですが後半にII型についての記載が有り
A型シャッターにF2.9レンズ付の物だけは残されるが
値段は百三十五円に変更される、と書かれています。
国産随一のF2.9レンズ付だから一応残したのでしょうか。


ダイカストボディは少々重いですが中々堂々としており
寧ろこのままオリジナリティを出しても良かった様な気もしますが
やはり当時の「舶来珍重」「独逸製至上主義」と云う風潮を考えれば
イコンタシックスのコピー型へ流れて行くのは仕方が無かったのでしょう。
尚、当時富士光学が自力でF2.9レンズを開発出来たかどうかは怪しいので
レンズ自体トリオプラン辺りのコピーじゃないかと個人的には思うのですが如何?


 

戦前国産大口径レンズの威力を見よ。

絞り開放テスト
春先の花壇
桜と月

 

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