・玄光社 "関式サロン露出計" (戦前型)
写真雑誌を発行していた玄光社から発売された関式サロン露出計です。
具体的に何時頃発売になったのかは良く判りませんが
当時の雑誌広告などから昭和十五年頃の発売ではないかと思います。
(※その後、昭和十四年十月頃の「アサヒグラフ」で広告を見つけました)
本体の裏側です。
露出計算に使用する各種係数表が細かく書かれています。
「毎月の時間別光度係数表(緯度別に3種)」「各種人工照明に於ける係数」
「写真電球使用時の反射傘修正係数」「月光度係数」
実に色々な条件下での撮影について記述されています。
関式サロン露出計は二つ所有しております。
最初入手したのは写真左手前の薄い色の物で、恐らく終戦直後の物。
後から手に入れた写真中央奥の黄色っぽい方は戦前の物だと思われます。
別に本体に製造年とか記入されている訳ではありませんが恐らく間違い無いと思います。
理由は簡単です。先ず戦前製と思われる物の裏側アップ。
光度係数表の緯度別範囲が、北緯50度から北緯20度の範囲をカバーしてあります。
記載されている地名も、北は南樺太・朝鮮北部・満州国に始まり
朝鮮南部・北支・中支を経て、南は南支・台湾までです。
こちらは終戦直後の製品と思われる方の裏面です。
緯度別係数表は北海道から九州までしか有りません。
光度係数表の空いたスペースには使用法が書かれていますが
この説明のお陰で使い方が判りました。
更にサンマータイム(サマータイム)についても言及されています。
日本での実施は占領下の昭和二十三年四月から二十七年四月までなので
販売はこの期間に限定出来ます。
「アサヒカメラ」昭和十五年七月号の広告から。
「燦たり皇紀二千六百年!」とか「玄光社の一大ヒット!」だの
国威発揚、躍進ニッポンを表して景気良く書いていますが
「フィルム飢饉の時局下に・・・」と言う一文に苦悩が滲み出ています。