石油切符2種

・石油切符


昭和十三年、物資動員計画による消費規制強化の流れから
三月七日に「揮発油及重油販売取締規則」が公布施行。
更に四月二十五日には「揮発油及アルコール混用法」が施行され
(自動車用ガソリンへの混入開始は七月一日)
五月一日からは切符制による燃料油配給(第二次石油消費規制)が実施されました。
今回は件の切符そのものの紹介です。

揮発油1ガロン券
先ずは揮発油券から。北海道庁の発行で1ガロン用。
画像は左側が表で右側は裏面です。
ガロンには米ガロンと英ガロンが有りますが、石油だと先ず米ガロンでしょうから
この場合1ガロンは約3.785リットルとなります。
裏面の注意書きは以下の通り。(旧漢字は常用漢字に直してあります)

一 本券ハ北海道及各府県ニ於テ通用ス
二 交付庁府県又ハ警察署ノ印ナキモノハ無効トス

大きさは縦7.5センチ、横4.5センチ。


重油180リットル券
此方は重油券。同じく北海道庁の発行で180リットル(十缶)用。
わざわざ十缶と明記して有る辺り、基本は一斗缶での分配だったのでしょうか。
此方は交付市町村と年月日の判子が押して有りますので
昭和十五年に北海道の虻田郡留寿都村で発行された物であると判ります。
重油用は裏面の注意書きがちょっと多めです。(旧漢字は常用漢字に直してあります)
※個人名・住所の記載が有る為一部修正

一 本券ハ地方長官ノ許可ヲ受ケタル場合ヲ除クノ外
   之ヲ発行シタル地方長官ノ管轄区域ニ於テ通用ス
二 本券ノ有効期間ハ交付ノ日ヨリ其ノ日ノ属スル月ノ翌翌月ノ末日迄トス
三 本券ハ之ヲ他人ニ譲渡スルコトヲ得ズ
   但シ地方長官ノ指定シタル団体ガ其ノ団体ヲ組織スル者ニ配布スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
四 交付庁府県又ハ警察署ノ印ナキモノハ無効トス
五 本券ノ交付ヲ受ケタル者(地方長官ノ指定シタル団体ガ購買券ノ交付ヲ受ケタル場合ニ在リテハ
   当該団体ヨリ購買券ノ配布ヲ受ケタル者)ハ遅滞ナク用途、氏名名称及住所ヲ記入ノ上捺印スベシ

大きさは縦7.5センチ、横4.5センチ。


模様の拡大
下地の模様と縁取りの拡大写真。
どちらも「丸」に「商」の字の商工省マーク(?)が入っています。
当時の新聞では「海上用は桃色(赤色)、陸上用は青色」の二種類と書かれていましたので
この切符だと揮発油は自動車かオートバイ、重油は船舶用で使われたものと思われます。
・・・でも留寿都村って海には面して居ないので、実際どうなのか良く判りません。


この頁の作成には以下のサイトを参考としました。
石油便覧−JX日鉱日石エネルギー 3. 戦時体制下の石油政策
新聞記事文庫 石油(11-173) 大阪時事新報 1938.3.6(昭和13) 青桃 二色の石油切符
新聞記事文庫 石油(11-174) 大阪朝日新聞 1938.3.7(昭和13) 軽油、重油を裁く赤い券・青い券
新聞記事文庫 石油(11-195) 中外商業新報 1938.4.21(昭和13) ガソリン切符実施期迫る

 

 

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