・Eastman Kodak "Vest Pocket Kodak" 01

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Shutter: Kodak Ball Bearing Shutter ( T, B, 1/25,1/50 )

Lens: Kodak Anastigmat ( f=84mm 1:7.7 )

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1912年から1926年にかけてアメリカのイーストマン・コダックから発売された
折り畳み小型カメラ、ベスト・ポケット・コダックです。
製造期間は日本の年号で云うと明治四十五年から昭和元年。
即ち、丁度ぴったり大正時代に当たります。
使用フィルムはブローニ判(#120)を一回り小さくしたベスト判(#127)ですが
そもそもこのカメラ用に作られた物なのでこの名前になっています。
画面サイズは短辺が41.3mm、長辺は63.5mmで、かなり細長い印象を受けます。


最初に発売された「ベスト単玉」(ベス単)は一群二枚の単レンズでしたが
このモデルは固定焦点のコダックアナスチグマットレンズ付きです。
固定焦点ですから、概ね3mより先の被写体ならばピント合わせ不要です。
シャッター速度はTとB以外、1/25秒と1/50秒のみです。
当時のフィルム感度と固定焦点の性質上、此れで充分だったのでしょう。
裏側には「オートグラフィック」用の小窓が有りますが鉄筆は紛失しています。


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ファインダーはウエストレベルの小型反射式ブリリアントファインダーのみなので
構図合わせは大体の見当をつける位しか出来ません。
矢来タスキは特に固定されて居る訳ではないので
開く時も閉じる時も、普通に引き出し&押し込むだけです。


実はこの機体、当方のクラカメ道楽のキッカケとなった奴でして。
小学生の頃、母方祖父の形見分けで貰った2台のカメラの1つが此れでした。
当時は流石に使い方が判らず、フィルムも見た事が無かったので放置していました。
その後就職して都内に下宿した折にウツキカメラへ行ったら
クロアチア製のモノクロフィルムが売られていたので早速購入。
漸くこのカメラを使う事が出来ました。
(因みにもう1つはペトリ2.8で、此方はかなり長い事愛用していました)
そう云う意味では実に思い出深い写真機の一つです。
但し、元々の機体は革貼りモデルで下地のアルミが腐食してボロボロだったので
その後手に入れた程度の良いチリメン塗装ボディへレンズ部を移植してあります。


当時175万台も売れたカメラなだけに、野口英世とか竹久夢二と云った
日本の有名人も結構愛用しています。

・・・尤も、ある年代の人間に対しては
「ドラえもん」てんとう虫コミックス11巻に掲載されている
「自動販売タイムマシン」でのび太が買ったカメラと云った方が判り易いかも知れませんw
つーか藤子・F・不二雄先生、ネタのチョイスが渋過ぎます!
尚、作品が描かれたのは1975年ですが
コダックが最後のベスト判フィルム(エクタクローム)を生産中止にしたのは
実は20世紀の末期、1996年だったりします。

 

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